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ライターと取材メモについて

◇ライターとは何者だったのか
 本作を読み進めていくと、章の終わりごとに追加される「メモ」。この書き手である無名の「ライター」。彼は、結局どういった存在だったのか。
 「取材メモ。或いは個人的なノート。」から分かることは以下である。

・フリーランス(フリーライター)であること。
・浅田リョウの「事件」に疑問を持っていること。
・深夜に一度、軽度の「ゲシュタルト崩壊」を体験する。

 独自の情報網を用いて、主に浅田リョウの母校周辺を取材して回るライター。しかしながら、浅田リョウという存在が、周囲にはそれほど影響(もしくは印象)を与えるような物でもなかったらしく、個々の情報は断片的で、錯綜しがちだ。厳しい状況の中で、それでも一歩一歩進み続けていたライターに待っていた結末は……。

 本作をプレイした方ならもうお分かりだろうが、メモ「後日、署内某所にて。」で、ライターが何者だったかが判明する。浅田リョウを巡る「事故」を「事件」と思い込み、執拗な聞き込みを敢行し、学校や周辺住民に煙たがられ、挙句の果てには泥酔して暴行事件を起こしてしまったどうしようもない奴。それがこのライターの全てである。

 崩壊していた浅田リョウと、「勘違いしていた」ライター。「私的取材メモ4」にて「少女」から聞いていた話が、皮肉に響くことになってしまった。
 


◇メモにおけるトリック
 作中で読むことができる「メモ」は、内容推理に大変有効である情報をもたらす反面、同時に叙述トリック等を利用した、幾つかの錯覚を呼び起こす作用も内包している。

 一つだけ例を挙げると、「私的取材メモ」における、浅田リョウが通っていた高校の校長へのインタビューの話にそれが顕著だ。「この学校には浅田リョウ以前にも不可解な事件が起こっている」というライターの指摘に、校長は少々沈黙した後「赴任したばかりで知らない」と答え、直後に教頭に呼ばれ、退席するという、「それらしい」シーンがある。こちらも、「後日、署内某所にて。」を読了すれば、実際にはどういった状況だったのかは判明する。

 メモにはこのような小さなトラップが数多く存在している。


モドル